訪問診療について
◎訪問診療とは、定期的な医療が必要ながら通院が難しい方、入院よりも住み慣れた家で過ごしたい方などの御自宅や施設に医師が計画的、定期的に訪問して行う医療のことをいいます。
◎訪問診療を受けている方の容態が急に悪化したときは、24時間365日連絡が取れる体制を整えており、夜間や休日も必要時に往診を行っております。
※往診は、当クリニックで訪問診療をうけている方を対象に行っています。訪問診療をうけていない方のその時限りの往診は原則行っておりませんので御理解のほどお願い致します。
◎訪問診療を受けている方が検査や治療が必要になったときは、病院への紹介受診の手配を行っております。また御希望があれば入院していただくことも可能です。
◎訪問診療の頻度は病状などにもよりますが、通常は2週間に1度になります。
訪問診療の費用
訪問診療は、通常の医療医保険で受けることができます。
月に2回訪問診療を受けた場合、自己負担額の目安(個人宅の場合)は以下の通りです。
自己負担1割の方 | 月7千円程度 |
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自己負担2割の方 | 月1万4千円程度 |
自己負担3割の方 | 月2万円程度 |
◎別途、採血などの検査の費用がかかることがあります。
◎病状により、訪問診療の回数が増えたり、緊急往診などを行ったときは、上記の金額よりも自己負担は増えますが、「高額療養費制度」を利用されますと定められた上限以上の金額は負担する必要はありません(自己負担額の上限は、年齢や収入により異なります)。尚、訪問診療や緊急往診の際に交通費を負担する必要もありません。
◎お薬代は、外来受診時と同様に別途薬局でお支払いが必要になりますが、御事情により薬局にお薬を受け取りにいけない場合は、薬剤師による訪問服薬指導を受けることもできます(介護保険を利用します)。
当クリニックの訪問診療の特徴
外来診療から訪問診療へ移行可能
外来通院中の患者さんの日常生活の活動度や病態に応じて、訪問診療に移行し、継続的に対応します。
在宅療養支援診療所(24時間365日対応)
訪問診療を受けていただく方には緊急時の連絡先をお伝えしますので、いつでも医師と連絡を取ることができます。
訪問看護ステーション、介護事業所、担当ケアマネージャーとの連携
在宅療養では、訪問診療だけでなく訪問看護師さん、ヘルパーさん、担当ケアマネージャーさんなど、関係多職種との連携が不可欠です。
看取り対応
御自宅で最期の時間を過ごされたい方には、訪問看護師やケアマネージャーヘルパー、施設のスタッフの方々など関係多職種と連携し、介護に当たられる御家族を支援しながら診療、ケアを行います。
訪問診療の対象
疾病や認知症、日常生活の活動度低下等によって通院が困難な方が対象になります。
心臓病、癌、神経難病、脳卒中後遺症など、様々なケースに対応しています。
具体的には
◎入院中で、今後御自宅で過ごしたい方
◎介護が必要な認知症を有する方
◎御自宅で最期の時間を過ごしたい方
以下に当クリニックで行っている訪問診療の事例を挙げましたので御参照ください。
当クリニックの訪問診療事例
誤嚥性肺炎を繰り返すAさん(90歳代)
当クリニックと訪問看護ステーションとの連携事例
Aさんは膀胱癌術後で総合病院に通院していたが、重症心不全を発症し入院。心不全は改善したが、嚥下障害から誤嚥性肺炎を繰り返し、ほぼベッド上生活となった。入院が2か月に及び、在宅療養を希望するAさんの意向を尊重し、病院で行われる退院前カンファレンスに参加し、訪問看護師、担当ケアマネージャー、病院の主治医、看護師とAさんの病状等について情報共有を行った。退院後も誤嚥性肺炎を繰り返しているが、週1回の訪問診療と訪問看護ステーションとの連携により、抗菌薬の点滴などの処置を行い、再入院することなく在宅療養を継続中である。
両下肢の皮膚潰瘍の治療に難渋したBさん(90歳代)
皮膚科医院と訪問看護ステーションとの連携事例
Bさんは糖尿病、高血圧症を有し、他院外来に通院されていたが、緑内障による視力障害や両下肢筋力低下のため自宅で転倒されることもあり、外来通院が困難となり当クリニックからの訪問診療に移行した。Bさんには従前より筋力低下に伴う両下肢のむくみを認めていたが、ここに外傷を契機に皮膚潰瘍を繰り返すようになった。経口及び外用抗菌薬で加療するも皮膚潰瘍の改善に乏しく、皮膚科医院からの訪問診療を依頼した。皮膚科医から両下肢の皮膚潰瘍に対する処置の方法について御家族に指導がなされ、また訪問看護を導入することで頻回に外用処置を継続することで、入院することなく皮膚病変は改善した。
進行期認知症のCさん(90歳代)
進行期認知症の在宅看取り事例
Cさんは認知症、甲状腺機能低下症を有し、車いすに移乗の上、当クリニックに通院されていたが、ある時尿路感染症を発症し総合病院に入院。抗菌薬治療で尿路感染症は治癒したが、食事を経口摂取できなくなり、点滴に依存するようになった。病院の担当医からは療養型病院への転院を打診されたが、コロナ禍で御家族が病院にお見舞いに行けない事情もあり、在宅で看取りを前提とした訪問診療を希望された。訪問看護ステーションと連携し、適宜点滴を行いながら、御家族が提供したすりおろしの煮たリンゴやプリンを少量摂取できるようになった。以後、症状緩和に取り組み、退院2か月後に御親族に見守られながら安らかに永眠された。
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